少女漫画『アンコールが3回』のレビュー

むかしの人の少女漫画って今のものとはどこか違って、お話としてはおもしろいものもたくさんあるんだけど、どこか感情移入できない感じがあって私苦手でした。くらもちふさこはその中でも映画のような画面、独特に読者をつきはなすところが異色。俯瞰で話をみているような気分にさせられる作家だという認識。しかしこのアンコールが3回は、上記のような手法で、少女漫画の王道ど真ん中を描かれたもので、おもしろかった。泣くわ、笑うわ、やきもきするわ、ついつい自分も不破くんに恋しそうになるわ感情移入しまくり。ネームが少ないのに物足りない感じもせず、こんな気持ちの分量を表現できているのが不思議なくらい。女の子ってこうなんだよねー!というのが、やはり一歩引いたところから全て描かれています。仕事に向いてる男の人に嫉妬してみたり、元カノと自分のことを比べて自己嫌悪に陥ったり、わがままいって困らせたり、止められなかったり。そんなときに他の男にやさしくされてコロッと行きそうになるけど結局その人じゃないと満足できない心だったり。ほんとうに恋愛って安定するまでは病気みたいなもんだよなー。